軽度外傷性脳損傷は、交通事故、労災事故、スポーツ外傷、暴行などが原因で起こる。
頭部を強く打ったり、不意に大きく振られたりすることで微細な脳損傷が広範囲に起きる。事故直後短時間の記憶喪失などが起こる。
脳の神経細胞同士をつなぐ「軸索」と呼ばれる情報伝達路が広範囲に損傷を受けたり断裂したりして、様々な症状が現われると考えられている。
「軽度」とは事故直後の意識障害の程度が軽度という意味で、その後に起こる症状が軽度というわけではない。
大部分の患者は症状が一時的で長くても1年前後で回復すると考えられてきた。
しかし、重い症状が1年以上続いて仕事ができないなど、社会生活に大きな視床が出る人が少なくないことがわかってきた。
代表的な症状は、手足の痺れや痛み、手足に力が入らない、においや味がわからない、目の見え方や耳の聞こえが悪くなる、排尿回数が増えるなど。
意識を失うてんかん発作や記憶力、注意力の低下、情緒不安定などの高次脳機能障害が残る例も多い。
しかし脳の画像検査で脳損傷と診断される例は半数に満たない。
高次脳機能障害がわかっても、画像に異常がなければ現在の労災等級では最低の14級となり、患者は十分な補償が受けられない。
だが、事故直後の意識障害の後、脳損傷でよく現われる様々な症状があれば、軽度外傷性脳損傷の可能性が高い。
東京都江東区ひらの亀戸ひまわり診療所、整形外科医の石橋徹先生は、世界保健機関の定義に当てはまる患者に、神経の異常を診る幅広い検査を行ってきた。
運動や知覚の機能低下、排泄の異常、目や耳など脳神経の異常、記憶や理解、集中力といった認知能力の異常などを
確認する検査で異常を認めたら、眼科、耳鼻科、泌尿器科、脳神経外科などの専門医がいる医療機関で詳しい検査を勧めた。
その結果、石橋先生が軽度外傷性脳損傷と確定診断した患者は1400人を超え、他医療機関でも診断例が報告され始めた。
こうした状況を受け、厚生労働省は画像で異常が認められない高次脳機能障害の患者に対し、軽度外傷性脳損傷の可能性を考慮し、後遺障害の程度に応じて労災の障害等級を決める方針を打ち出した。
だが高次脳機能障害のない患者の救済は手付かずのままだ。
患者を量産する結果になっていないか、自分が病気だと思い込み信じ込むことで不幸にならないか。
なぜ、医者が整形外科医なのか、脳神経外科では認められないのか。
だが、私の家族も高次脳機能障害。
労災でも事故でもなかったが、もしかしたら外傷性脳損傷の可能性もないわけではないかもしれない。
(大学病院でも事故は関係ないと診断されたが)
もし、高次脳機能障害が労災や事故ならば受けられる補償は雲泥の差が有る。
だが、高次脳機能障害がない患者(後遺症)の救済はどういうことなのだろうとも思う。